都内での生活も、少しずつ日常になってきた。
人の多さや街の速さには慣れてきたけれど、季節のイベントだけは、まだどこか他人事のままだ。
今年のクリスマスイブも、特に予定はなかった。
仕事を終えて、帰って、いつも通りの夜を過ごす。それだけの一日になるだろうと、自然に思っていた。
「たぶん、今年はクリぼっちだな」
そう思っても、不思議と強い寂しさはなかった。ただ、そういう年もある、という受け止め方だった。
街に出れば、イルミネーションや楽しそうな人たちが目に入る。
でも、それを羨ましいとも思わず、少し距離を置いて眺めている自分がいた。
都内に来てから、ひとりで過ごす時間が増えたせいか、こういう夜にも静かでいられるようになっていた。
そんな気持ちで過ごしていた夕方、スマホにメッセージが届いた。
画面を見た瞬間、少しだけ時間が止まった気がした。
まさか、今日だとは思っていなかったからだ。
内容は、特別な言葉が並んでいたわけじゃない。
でも、「今夜」というタイミングと、「一緒にどうですか」という一文が、想像以上に心に残った。
一人で終わるはずだった夜に、突然、別の選択肢が現れたような感覚だった。
正直、少し迷った。
期待しすぎてしまわないか、変に構えてしまわないか。
それでも、素直に「嬉しい」と感じている自分がいたのも事実だった。
クリスマスイブだから嬉しかった、というよりも、
「一人だと思っていた時間が、そうじゃなくなった」
その変化自体が、心に響いた気がする。
都内生活が始まってから、ひとりで考える時間が増えた。
誰かと一緒にいることも大切だけれど、ひとりで過ごす時間があったからこそ、こういう誘いをありがたく感じられたのかもしれない。
結局、その夜がどうなったかは、細かく書くほどの出来事ではない。
派手な演出も、特別な場所もなかった。
それでも、今年のクリスマスイブは、確実に記憶に残る夜になった。
一人で終わると思っていた夜が、少しだけ違う色を持った。
それだけで、十分だった気がする。
クリスマスイブは、誰かと過ごすかどうかよりも、
「一人だと思っていた時間が、ふと変わる瞬間」
その感覚こそが、いちばん印象に残るのかもしれない。


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