今日は、誰にも会わなかった。
コンビニには行った。
でもレジは無人で、支払いは画面越しだった。
声を出す必要もなく、ただ操作をして店を出ただけだ。
朝から夜まで、
誰とも言葉を交わさなかったことに気づいたのは、
夕方になってからだった。
特別なことは何もしていない。
いつも通り起きて、少し遅い朝食をとり、
画面を眺めながら時間をやり過ごした。
何かをした記憶は曖昧なのに、
時間だけは確実に進んでいた。
誰にも会わない日は、
時間の流れが少し違う。
早いわけでも、遅いわけでもない。
ただ、一つ一つの時間が、
妙に存在感を持って現れる。
昼を過ぎた頃、
このまま一日が終わるのは落ち着かない気がして、
理由もなく外に出た。
歩いていると、人はたくさんいる。
すれ違い、追い越し、横を通り過ぎていく。
でも、関係は生まれない。
目が合っても、
それはただの偶然で、
会話につながることはない。
それでも世界は、
何事もなかったかのように動いていた。
午後の後半、
少しだけ不安になる瞬間があった。
今日という一日が、
何も残さずに消えてしまうのではないか、
そんな感覚だった。
誰にも会わず、
誰の記憶にも残らない一日。
それは、
存在しなかった一日と同じなのではないか、と。
けれど、実際には違った。
何も起きなくても、
時間は確実に積み重なっている。
誰にも会わなくても、
考えたこと、感じたことは、
確かに自分の中に残っている。
それが他人と共有されないだけで、
消えてしまうわけではない。
夜になり、部屋が静かになると、
自分の思考だけが浮かび上がってくる。
誰かに話す予定もない考えが、
頭の中を巡る。
それは少し重たくて、
同時に、嘘のない状態でもあった。
誰にも会わない一日は、
空白のように見えて、
実はちゃんとした重さを持っている。
思ったより長くて、
思ったより静かだった。
今日はそれだけの一日だった。
だからこそ、
ここに記録しておく。
誰にも会わなかったけれど、
確かに、生きていた一日として。


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